説得力のまるでないこの計画は、もともとどこから出てきたものなのか。
意外というべきか、当然とすべきか、道路課長によれば、これは形式としてはむろん道庁側が申請したことになっているが、「内実は開発庁の方からむしろ打診してきたものと理解していないという。
それではと、東京の合同庁舎に開発庁地政課を訪ねた。
「どちらが先に言いだしたともいえない」という玉虫色の返事だ。
そして、この道路建設についての基本的理由「道路新設には2つの考え方がある。
第1は、切実に困るから造る。
第2は、遠い将来に備えて造る。
ネットワークの一環とし、産業開発や観光への発展を見越して」この道路は後者だという。
そして、ここでも「道路密度」、つまりはスキマが重要な論拠であった。
密度が全国平均の半分だとか、交通過疎だとか。
説得力のないまま開発官僚がいかに道路を造りたくても、地元が反対であれば不可能だ。
が、静内町も中札内村も、この4月の議会で「満場一致」の促進決議をした〔注5〕。
これで大義名分はできた。
だが、促進の理由を役場の責任者たちにきいてみると、「地域の振興」に類する発想以上のものはない。
具体的には「山の両側の交流」「農産物や木材・飼料の輸送」程度であって、日勝線で可能なことばかり。
もちろん、両町村にとっては今より便利になる。
その「地元」としての感情はよく理解できた。
だが、今の日本の山村で、幹線道路計画を歓迎しないところがどこにあるだろう。
そうした一般的状況を超えて「とくにここは必要だ」とするもう一歩の説得力は、ついになかった。
過疎開題にしても、静内はやや上向きだし、中札内も横ばい状態。
たとえば南アルプス・スーパー林道の長谷村のような、人口半減による危機感のようなものはない。
地元の中でも最も「本来の地元」として、あるアイヌ民族の言葉を紹介しよう」これまでは土地をとられてきたが、こんどはその土地が復元不能の徹底的破壊をされるってことだべさ」。
背景では、第3段として、それでも強行する真意は何か。
反対運動の責任者たちゃ、開発問題にかかわってきた人々、あるいはこの問題の担当記者たちの見方をまとめると、ほぼ2点に要約される。
これは多くの人の一致する指摘だが、北海道の開発政策を道議会議員として見つづけ、著書もある北海道労働金庫理事長・佐野法幸氏の言葉で代表させてもらうことにしよう。
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